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「『白いクスリ』について」を読んで思った

2009/9/26 (Sat) at 11:27 pm

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小説家の野尻抱介さんがニコニコ動画にアプされた『白いクスリ』というバカ動画を巡るアレコレについて、意見を述べていらっしゃる。彼はクリプトンの態度がよろしくないと思っているそうです。詳しくはこちら↓

野尻blog - 『白いクスリ』について

どうなんですかね。論旨はわかるけれど、クリエイターがこんな苦言を呈するなんてじつにつまらない世の中ではないかと複雑なきぶんになった。特にここらへんですね↓

> 私が特に懸念するのは、クリプトンが今回の判断を示したことで、年若いユーザーたちが「良い子」になろうとすることだ。

この言葉が出た経緯はこうである。今回の件のようにクリプトンが口出し→削除という前例がまかりとおるならば、この先わいてくるであろうバカクリエイターたちの鋭気が失われてしまうのではないかと深く危惧した上でのこの発言であるてことらしいんですけど、こんな台詞自体がクリエイターらしからぬ「良い子の発言」ではないか。申し訳ないが野尻さんの本を読んだことがないんですが、そんなに高みの見物をしてられるほどの先生クラスなんですかね。教科書問題に口を突っ込んでくる丸谷才一のよう。といったらいいすぎ?

バカなことをやればオイコラと怒られるのは当たり前の話で、元来、鼻つまみ者というのは批判されることをエネルギーに転化していく才を持つ者ではないだろうか。バカなことすんな!とか、けしからん!とかいわれるたんびに、クリエイターは無上の喜びを噛みしめるもんではないだろうか。ニコニコ動画やクリプトンが大人の事情でダメ出しをするんなら、サッサと撤退して他の方法で表現すればいい。自宅サーバでもいいじゃないですか。クリプトンにダメ出しされたらボーカロイドが使えないとか?そこらへんは鼻つまみ者ならなんとか代替案を考えましょうよ。野尻抱介さんはこうもおっしゃっているので↓

> 表現とは、利用規約ごときで縛れるものではない。現代芸術には、動物の臓器を床にぶちまけた作品もある。美しいばかりが芸術ではない。

私と共感できる部分もある。こんなことをわかってるくせになんで「私が特に懸念するのは〜」なんていうイイコちゃんぶった発言しちゃうのだろうという点が私には不思議なのですね。

私はかつて小学校時代の図工の授業で粘土で極めて精密なチンコをつくった。本当は女性器もセットでつくりたかったのだけれど、当時の私は女性器の構造をまったく知らなかったのでそっちはつくれなかったのですね。とりあえずチンコを模した作品が完成したら私はものすごくうれしくなり、それがきたる授業参観の日に教室の奥のロッカーの上にみんなの作品と並ぶことを期待した。人々は眉をひそめておののくだろうなーと大期待したんだけど、結局、その日はこなかった。担任教師が私の作品をそっと取り除いたからである。教師はなにもいわずにそれをどっかにしまい込んでなかったことにした。

そのときに私があじわったきもちは意外で新鮮で不可解で麻薬的だった。私はあのときありがたい人生のレッスンを得たと思う。自分の作品をゴミ扱いされたわけだから腹が立つかというとそうでもなく、それも少しはあるんだけど、それとはまた別の感情がぐわーんと押し寄せてきたので、我ながらものすごく不思議であった。それは悲しいようなうれしいような切ない感情のうねりであった。

私はそのとき、理屈を超えて満足したのである。「おれはやったった」というひとつの達成感があった。教師の困惑顔を見るのが私の人生の指標になった。おおげさに聞こえるかもしれないが、「生きていく」というのはこういう切なげな感情を伴うものなんだなという点を学習したように思う。大人になってから坂口安吾を読み、おれはまちがっていなかったと確認した。

表現とか創作という活動は、ゲロを吐くようなものではないか。もうとにかくいまこれをつくるしかないのだ!と名状しがたい内部の力に衝き押し上げられ、ノドに指を突っ込んでゲロを吐くように作品を押し出すのだ。私の場合、つくり始めた頃というのはまだ雑念があって「これが売れたらすごいだろうな」とか「これを見たらあいつはおれを見直すであろう」とか、つまらないことばかり考えてしまうんだけど、意識的に没頭していくとそういうことがどうでもよくなってくる。頭がひゅーんと冴えてくる。自分がつくった風景に重力を与えていく。

いちばんすばらしいのは完成した瞬間だ。その瞬間に立ち会えたことで無上の幸福を覚える。翌日、自分の創作物を見て落胆する。なぜこんなゴミをつくってしまったのだろうと落胆し、自殺したくなってくる。これはもうだめだめとお蔵入りしそうになるのをぐっとこらえて、手直しをしてみようかという気になる。またゲロを吐く。幸福になる。落胆する。そうこうやってるうちに本当にそれが完成したとき、ひとまわり大きな幸福に包まれる。創作するのってそういうもんじゃないですかね。そんなことをヒーヒーやってるひとたちは良い子になるヒマなんてないんじゃないかと私には思われるんですが。。。

なんてゴタクを述べている私自身は近年は創作活動を休止しております。また始動せねばという焦る気持ちがある反面、デザインなどという芸者仕事に馴れてしまった私はもう無理かもしれないという気もするがそれで終わったらつまらないので、やっぱりやらねばという気がする。

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藤居ヒロヤ。ウェブデザイナー/ウェブディレクター。ウェブデザインオフィス、3OT NET主宰。名古屋市中区。「優しいデザイン」「激しいデザイン」「正しいデザイン」「セクシーなデザイン」「泣けるデザイン」「もっともなデザイン」... 。あなただけのウェブデザインを丹精込めておつくり致します。見積り依頼等、お気軽にお問い合わせ下さい。

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